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『皆まで言うな』が発刊されたので、同じく竹の子書房絵が先レーベルから3月16日にリリースされている『首のない体』も同時に読みました。 この二冊に関連性はないと思いますし、装絵の首と体が一対になっているという確証があったわけでもないのですが、どうしても私は二つ並べて眺めてみたかったもので。 こういうものには、こだわりが必要なのですよ。 もしかしたらこの首は他人の首なのかも知れませんが、しかし他人の体に他人の首が載っているというのも、それはそれで面白いではありませんか。 本人の首より、しっくりとなじむかも知れませんし。 ソメイヨシノも接木で増えると申します。
それにしても黒実操の文章は、どうしてこうも自然に古色を帯びるのでしょう。 選ばれた言葉の一つ一つに、古い蝶番の軋むような響きが伴うような気がします。 進駐軍払い下げのJEEPパトカーに乗って注意深く読み進んで行けば、木々の間には思いもよらない伏線が張ってあります。 気をつけて読み進んでくださいよ? 鋭利な伏線に気がつかずに無闇に突っ込むと、貴方の首がゴロリと地面に堕ちるかも知れませんよ? と、忠告はしておきます。 だけど間違った首を拾う人はきっといるでしょう。 本当にその首でよかったですか? 他の首と間違えてはいませんか?
いやいや、実は私が正解と思っているこの首こそ、実は黒実操が用意したニセモノの首なのかも…… 本書はそんな疑心暗鬼に陥る一冊です。
あの夏の日、深い轍の刻まれた道と、圧倒されそうな蝉しぐれ。 茂った雑草の醸す草いきれは、呼吸をためらうほどに濃密だ。
そんな情景に読者を取り込んでしまう力が、このお話にはある。 そして、取り込まれたが最後、謎解きをする程の距離を保つことはできない……
私にはとうとう結論が出ませんでした。 あなたは、どんな解答を得ましたか?
我らが竹の子書房通販課のケツバット係に所属する黒実操嬢の新刊です。
まだ「村」という単位が当たり前であった頃。 吸い込む空気の匂いですら違うように感じる事ができる 黒実さんの文章は本当に凄いの一言です。 凄い、としか表現できない自分の言語能力にくじけそうでしたが、感想を書きたくて……失礼いたしました。 で、この作品の通販化はいつ三ヾ(ヽ*’ω’*)┌┛★)`3゚)゚:+。`゚
しかし彼女の描く悪女はどうしてこうも悩ましく魅力的なのかと。 文章を読んでるだけでしっとりときめの細かい肌に手を伸ばしたくなります。
昨年からブログの方で読ませて頂いておりました。 当時はまだ庄屋の家が何者かの手によって焼け落ちたところで終わり、後は読み手に謎を解かせる形の作品でした。 それだけでも閉鎖的な村の恐ろしさ、解けない謎の糸をたぐるもどかしさにのた打ち回り、作品の完成度と彼女の才能に嫉妬すらできず指を咥えて見ているだけでした。
しかし、彼女はそれで終わらなかった。 彼女の手によって描かれた小さな謎は、彼女の手によって「何が真実で何が嘘なのか」も分からなくなるほど大きく膨らみ、 最後に彼女の手に握り締められた小さな針の一突きでやっとパチンと弾けたのです。
ページ数はさほど多くないですが、短いながらも読了感たっぷりです。 村という閉鎖的な場所が真実を隠し、謎を謎のまま揉み消す恐ろしさ。 謎が解けてもなお、喉元につっかえる……現代にもまだ存在する恐ろしい空間をこの作品で味わってみてはいかがでしょうか?
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『皆まで言うな』が発刊されたので、同じく竹の子書房絵が先レーベルから3月16日にリリースされている『首のない体』も同時に読みました。
この二冊に関連性はないと思いますし、装絵の首と体が一対になっているという確証があったわけでもないのですが、どうしても私は二つ並べて眺めてみたかったもので。
こういうものには、こだわりが必要なのですよ。
もしかしたらこの首は他人の首なのかも知れませんが、しかし他人の体に他人の首が載っているというのも、それはそれで面白いではありませんか。
本人の首より、しっくりとなじむかも知れませんし。
ソメイヨシノも接木で増えると申します。
それにしても黒実操の文章は、どうしてこうも自然に古色を帯びるのでしょう。
選ばれた言葉の一つ一つに、古い蝶番の軋むような響きが伴うような気がします。
進駐軍払い下げのJEEPパトカーに乗って注意深く読み進んで行けば、木々の間には思いもよらない伏線が張ってあります。
気をつけて読み進んでくださいよ?
鋭利な伏線に気がつかずに無闇に突っ込むと、貴方の首がゴロリと地面に堕ちるかも知れませんよ?
と、忠告はしておきます。
だけど間違った首を拾う人はきっといるでしょう。
本当にその首でよかったですか? 他の首と間違えてはいませんか?
いやいや、実は私が正解と思っているこの首こそ、実は黒実操が用意したニセモノの首なのかも……
本書はそんな疑心暗鬼に陥る一冊です。
あの夏の日、深い轍の刻まれた道と、圧倒されそうな蝉しぐれ。
茂った雑草の醸す草いきれは、呼吸をためらうほどに濃密だ。
そんな情景に読者を取り込んでしまう力が、このお話にはある。
そして、取り込まれたが最後、謎解きをする程の距離を保つことはできない……
私にはとうとう結論が出ませんでした。
あなたは、どんな解答を得ましたか?
我らが竹の子書房通販課のケツバット係に所属する黒実操嬢の新刊です。
まだ「村」という単位が当たり前であった頃。
吸い込む空気の匂いですら違うように感じる事ができる
黒実さんの文章は本当に凄いの一言です。
凄い、としか表現できない自分の言語能力にくじけそうでしたが、感想を書きたくて……失礼いたしました。
で、この作品の通販化はいつ三ヾ(ヽ*’ω’*)┌┛★)`3゚)゚:+。`゚
しかし彼女の描く悪女はどうしてこうも悩ましく魅力的なのかと。
文章を読んでるだけでしっとりときめの細かい肌に手を伸ばしたくなります。
昨年からブログの方で読ませて頂いておりました。
当時はまだ庄屋の家が何者かの手によって焼け落ちたところで終わり、後は読み手に謎を解かせる形の作品でした。
それだけでも閉鎖的な村の恐ろしさ、解けない謎の糸をたぐるもどかしさにのた打ち回り、作品の完成度と彼女の才能に嫉妬すらできず指を咥えて見ているだけでした。
しかし、彼女はそれで終わらなかった。
彼女の手によって描かれた小さな謎は、彼女の手によって「何が真実で何が嘘なのか」も分からなくなるほど大きく膨らみ、
最後に彼女の手に握り締められた小さな針の一突きでやっとパチンと弾けたのです。
ページ数はさほど多くないですが、短いながらも読了感たっぷりです。
村という閉鎖的な場所が真実を隠し、謎を謎のまま揉み消す恐ろしさ。
謎が解けてもなお、喉元につっかえる……現代にもまだ存在する恐ろしい空間をこの作品で味わってみてはいかがでしょうか?