そこは冥界と陸続きなのか――。
数々の心霊スポットを探訪し、そこから怪異の臭いを嗅ぎ取るルポルタージュ。
人気シリーズ第三弾。
Webページ「日本伝承大鑑」を著し、ブログ「日本伝承大鑑<weblog版>」を精力的に更新する著者が、えり抜きの心霊スポットに自ら足を運び、その独特の空気感をお届けする。
【立ち読みサンプル】
5.天心白菊の塔(岐阜県加茂郡白川町)
名古屋市から高山市へ抜ける国道四一号線は、飛騨川に沿うように延び、その奇岩と渓流を常に目にやりながら進む。奇岩の景勝地飛水峡にさしかかる頃には、国道は既に渓谷を縫うように走る道へと変貌する。晴れた日に車を走らせれば心地よい風が吹き付け快適なドライブができる、風光明媚な土地であると誰もが思うような場所である。
そして白川町へ入って間もなく、「天心白菊の塔」という道路標識が突然現れる。山の斜面にへばりつく国道と川岸との間にある僅かなスペースに、違和感のある奇妙のモニュメントが置かれている。
【続きは本編で!】
今回は寂寥感というか、もの悲しさを感じる巻になっている気がします。
ひっそりと、普段は忘れられたように。
しかし、確かにあった事を刻む石碑の存在から、
何ともうら悲しい風の吹く如く。
それはもう一つの恐怖なのだと、感じました。
二つの天災の恐ろしさが、なにより胸に迫った巻でした。
そして、事故現場において怪談が生まれるということについて、真摯に考える機会を頂きました。
救いとはなんだろう?と、まずはそこから考えてみます。
表紙絵の御来光が、読了後に胸に渦巻く感情を鎮めてくれます。