嘘つき曲馬団

昼は楽しき曲馬団、夜は惑わし幻夢団。少年探偵が見るのは、夢か現か? 黒実操が贈る、幻想小説の傑作がついに発行! ●ちょっと立ち読み! 『第壱幕 スマヰルお千代は何故死んだ』 ツラヌキお巻の金切り声が、暁に響く。 真っ先に […]

書誌情報

(編著)黒実操

  • 装画:サデスパー堀野
  • ページ数:p.120
  • 価格:無料
  • ファイル形式:PDF
  • 発行日:2012/01/14
  • 改訂日:2012/01/14

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昼は楽しき曲馬団、夜は惑わし幻夢団。少年探偵が見るのは、夢か現か?

黒実操が贈る、幻想小説の傑作がついに発行!

●ちょっと立ち読み!

『第壱幕 スマヰルお千代は何故死んだ』

ツラヌキお巻の金切り声が、暁に響く。

真っ先に駆け付けた馬夫人が見たものは、嗚呼無残、スマヰルお千代の哀れな骸。

「お千代、お千代なのかい。何故返事をしないんだい」

四つん這いで手探るお巻を、馬夫人が抱き留めた。

「お巻さん、落ち着いて聞いとくれ。お千代は死んでいる。口から、ああ酷い血だ。……何か聞こえなかったのかい」

馬夫人の問いに、お巻は頭を振るのみ。

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