書誌情報
※この作品は成人女性向け小説です。18歳未満の閲覧、ダウンロードはご遠慮下さい。
(編著)須藤安寿
- 装画:色崎
- ページ数:236
- 価格:無料
- ファイル形式:PDF
- 発行日:2011/10/14
- 改訂日:2011/10/14
堕ちて毀れて弄ばれて。
黒蜥蜴と対を成す、
愛玩動物の物語。
【立ち読みサンプル】
眼光
連れていかれるのが「かじろ」という男のところであることは、義也も理解していた。男たちが交わす会話の中で、その名が何度も繰り返されていたからだ。
この半月ばかりの間、義也の所有者だった男たち。彼らは繰り返し殴り、蹴り……代わる代わる犯して、泣き喚く義也の姿をビデオに撮った。
「……気に入らないっすね。竿師風情が気取りやがって。何であんなヤツにウチの兄貴が腰を低くしてんです?」
「おい、滅多なことを言うなよ。痛い目を見るぞ」
まるで汚れた荷物のように扱われ、転がされた車の後部座席。義也は息を殺して彼らの会話に耳をそばだてていた。殴られた傷が、ずきずきと痛む。呻き声を堪えるのは容易なことではなかった。
【続きは本編で!】
ただエロいだけじゃない。
でも殺伐としてる訳じゃない。
絶妙なほろ苦さにやられます。
そして読後に「黒蜥蜴」を読みたくなります。むしろ読めw
BLを敬遠してる方やきゅん好きな方にも読んでいただきたいお話です。是非とも。
連載中から、ずっと楽しみに読ませていただいておりました^^
平凡だけれど穏やかな日常から、突然放り出された主人公の堕ちてゆく先がどうなるのか、いろんなドキドキが止まりません。
欲と暴力に支配された世界、それはありふれた毎日のすぐ裏側にあるのですね。
かなりリアルな暴力描写がありますが、それがこのお話に現実感と重厚さを与えていて、さすが須藤先生だと思いました^^
※ネタバレ注意
主人公に差し伸べられた手が、どうか光の射す方へと彼を導きますように。
主人公が墜ちていく様に、読んでいて痛みを感じると同時に、心と心の繋がりについて深く考えさせられました。淫靡なシーンはありますが、本質は人間同士の想いのぶつかりあいの作品です。
色崎さんの表紙と共に、是非ご堪能下さい。
18禁の作品で、激しめの性描写と暴力描写があります。私は大人ですが、シリアスな性描写や暴力描写は苦手です。しかしこの作品は、そんなこと忘れて、ぐいぐい引きこまれて読みました。
物凄くリアルで容赦無いのですが(表現するのは躊躇われますが)すごく面白かった!
大人の方限定ですが、ジャンル的に苦手だと思う方にもお勧めします。主人公だけでなく、描かれているキャラクターが皆、ドラマを背負っていて「生きている」魅力に溢れています。スピンオフを読みたくなりました。
この作品を初めて読んだとき、西村寿行の作品を思い出していました。
人の心の奥深くに潜む闇。そこに否応なく堕ちていく主人公。
ただ一つの光明を見つけだすことさえもできないまま翻弄され、生死の境まで追いつめられる。
全てを諦めきったとき、ようやく一つの活路が見いだされ、差しのべられた不器用な手に、主人公は縋りつく…
読み終わった後、心の中が満たされていく快感。
皆様もぜひ、この快感をご堪能ください。