長い年月を経て古くなった道具や自然物に、神様や霊魂が宿った「付喪神」。
そんな付喪神が、イマドキな道具や機械に宿ったら…??
ねこや堂発案の創作怪談アンソロジー!
【立ち読みサンプル】
漂着物 有川憂
漁師の祖父と釣りをした帰り、私達に付いてくる足音に気付いた。
「じっちゃ」
「黙ってぇっ」
無言で歩く。
家に着いた祖父は表に酒と塩、干物を皿に乗せ「エビス様、家族と思ぅてお祀りします」と拝んだ。
途端、かろんと楕円形の流木が転がった。
目鼻口のような傷の目らしき所に、涙の跡が滲んでいた。
【続きは本編で!】
ものすごく面白かった。
化生は企画としては実は竹の子書房の黎明期には動いていたもので、発足間もない2010年8月、9月頃に書かれたものもちらほら目に付く。
手探りで書かれてるけれども、書き手は手抜かりなく書いてる。良くできてる。
特に高田公太って作家wが凄く良かった。底知れない。
高田公太に限らず、どの書き手のものもほとんどハズレがない。
正に粒ぞろい。
読み物として非常に高い満足感、充実感があった。
編集者冥利に尽きるのでちょっと自画自賛ですけど、コンテンツの出来がホントに良すぎ。損はさせません。
ベクトルがちょっと私と違うけど、私がやりたいモノに良く似ていた。
興味深く読ませて頂いた。
我々は普段「モノ」として彼らを使役している。
使用人が主人をどう思っているのかは、日頃の扱いによるのだろう。
復讐もあり、恩返しもある。
それを言の葉で可能ならしめている本作は、ある意味で物に対する供養なのかも知れない。
読んでいる最中に、世界中から音が消えました。凄まじい吸引力のあるお話たちの、競演です。
読んでしまった今、まず手元にあるPCやカップ、ミニフィギュアをしみじみと眺めてみました。
あちらからも、眺め返されているような妄想が止まりません。