本当にあった、しかしささやかな実話怪談を、「別の誰かが語り直してみる」という、「「極」怖い話甦怪」のコンセプトを踏まえて書かれた実話怪談集。伝え継がれてこそ怪談。よってたかって伝え継がれていくと、実話怪談はどうなっていくのか? を実験した、竹の子書房初期の実験作。
※2010/9/14にアンケート特典から開放されました。現在は自由にご覧いただけます。
【立ち読みサンプル】
Ⅰ カナシバリ
「カナシバリ……」
耳元で女の霊が囁く。
金縛り状態なのは嫌でも分かるのに、わざわざそれを繰り返されると心が折れる。
「けけけ、カナシバリ!」
霊が熱狂してきた。恐怖を通り越して、俺はキれた。
「絶賛カナシバリ発生中!」
喚き散らすと二階から姉の声がした。
「一家全員カナシバリ!」
(雨宮淳司)
【続きは本編で!】
読む前は「あー、同じ話の繰り返しってことだよね」と、すみません、
正直なことを申しますとこの程度の認識でした。
読み始めて、すぐに心は焼き土下座を開始。
確かに「同じ話」なんですが、「語り継ぐ」「語り直す」ということが
どういうことなのかを、思い知らせていただきました。
ものすごく面白かった!!
2話読み終えて、「コレはおもしろいっ!!」と感動しました☆
確かに語り継ぐ場合、一つの話でも語り手によって一度噛み砕かれて吐き出される訳です。その語り手によって構築される違いがでてくる。
まるで、落語です。
これはある意味、物語・言葉ジャンキーのマニアックな楽しみ方じゃないでしょうか。
同じ話しを、語り継ぐ。
それは、伝言ゲームと同じテイストを持っている気がします。
この本は、その伝言ゲームテイストを遺憾なく発揮してます。
こんなに一つの話しが、別の語り手に渡るとここまでかみ砕かれて…
そう言う感じの一冊です。
面白かったです。